第5回 書寫山 全国短歌大会

各賞受賞作品のご紹介
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馬場 あき子 選

選者紹介
 馬場 あき子 (ばば あきこ)

昭和三年東京都生まれ。昭和五十三年 「 かりん 」 創刊。昭和六十一年 『 葡萄唐草 』 で第二十回迢空賞受賞。平成六 年 『 阿古父 』 で読売文学賞受賞。平成九年 『 飛種 』 で毎日芸術賞受賞。平成十九年 『 歌説話の世界 』 で紫式部文学賞受賞。平成二十四年 『 鶴かへらず 』 で第一回前川佐美雄賞受賞。 「 朝日歌壇 」 選者。日本芸術院会員。




友達に海彦山彦ゐる娘今朝は掘りたて竹の子届く
 初句が恋人だったらもっと面白い。しかし彦で表わされたからには友達は男性。
いそいそとした調子があるので、お母さんも娘自慢なのだろう。山彦から届いた竹の子に愛のかがやきがみえる。古代神話の中の俊秀な二青年の名をかりて描いた娘さんへの母の思いもゆたかだ。





十首選
とりどりの護符並べある神殿の奥処に巫女がパソコンを打つ
心臓のバイパス手術に採取せし足の静脈命を繋ぐ
大鍋に茹だる筍今朝までは青竹になる夢を見ていた
酒食らひすぎて逝くとふ遠つ祖の子の子の子のわれ酒買ひにゆく
手話で歌ふ「翼を下さい」巣立ち行く園児の小さき翼に潤む
三人娘のかわるがわるに見舞い呉るみんないい子でどの娘も忙し
留守中に若きオス猫たづね来てメス猫マリの定位置に座す
仕事にてはげしくわれと諍いし友の咲かせるイワチドリの花
あしたより春の日の差す岩の上子亀も甲羅並べて干せり
開拓の鍬入れしより五十四年 定年はなく梨の剪定す


馬場 あき子 選 佐佐木 幸綱 選 永田 和宏 選 小畑 庸子 選



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