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小畑 庸子 選 |
選者紹介 小畑 庸子 (おぱた ようこ)
昭和八年兵庫県生まれ。昭和五十八年 「 水甕 」 に入会。高嶋健一に師事。 「 水甕 」 選者。 「 ひめぢ水甕 」 主宰。歌集 『 双耳 』
『 木の扉 』 『 孤舟 』 『 天より湧きて 』 他がある。平成十八年 『 孤舟 』 で第二十九回姫路市芸術文化賞芸術賞受賞。平成二十二年兵庫県ともしびの賞受賞。
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眼科医院で治療を受けてのちの帰途であろう。用いられた薬品によって、かなりの時間瞳孔はひらいたままになっていると聞いたことがある。「勝負谷橋」の固有名詞はこの一首のなかでは生きていると言えよう。瞳孔のひらいたままの眼で、作者は何かに挑むように気強く、しかしゆらゆらと身を揺らせながらも橋を越えてゆく。橋を渡り終えて、瞳孔がもとに戻ったとき、その眼は今まで見えなかった新しい何かを見たに違いない。
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